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人間関係を良くするには、相手の気持ちを気遣って話すことが必要です。しかし、気の遣い方が不十分ですと、伝わるものも伝わらなくなることがあります。
「遠慮」する感覚は日本人古来の人づきあいの精神です。あまりズバッと表現すると、他とのつきあいが気まずくなりそうで、自分にふりかかる災いも大きいと考えるからです。二千年余りにわたって同一民族が同族として、ある時はせめぎ合い、ある時は助け合いしながら生活してきた歴史を考えると、実に奥床しい精神だと思います。でも、単に遠慮して物申すだけでは、事実がわからなくなってしまいがちです。表現の方法論に改良を加えたらどうでしょう。
それには、相手の長所、ほめることができる点を探してみることなのです。日本人はこれが下手です
本音でほめることのできる点をひとつで良いから見つけてあげることです。身内、名前、人柄、能力、努力、健康、何でもそこに存在するのですが、長所は隠れて目立たないため見逃しているのです。
私の研究室に欠点ばかり目立つ学生がいます。友人も心からつきあってくれない様子です。そこで、しばらく観察しました。この学生は、一度、心に決めると、頑固に守る点が見えてきました。そこで「バイトにも遅刻しないで頑張っているそうじゃないか。君はやれるんだなあ、すばらしいことだよ」とひと言、さり気なくほめましたら、そんなほめ方されたことがないというような顔をしていたのです。それから3週目に彼の友人から、講義にも遅刻せず、態度が変わったと報告を受けました。成功です。次にその学生が研究室に来た時、これから、彼がやらないといけない学習について3点だけ明確に伝えました。今、彼は懸命に努力をしています。目の色を変えて取りくんでいると友人達が驚いています。ですからただ遠慮がちに、理屈を遠まわしに言いつづけるより、表現方法を改良してみる方が有効な場合が多いのです。
「ほめ殺し」とか、社交辞令のようなほめ方は、かえって反感を持たれることもありますから、高齢者に「お若いですね」と言うより、「お元気ですねェ」と言うことが大切。そこで、ほめ方の注意5項目。
①さり気なくほめる
ヘェー、すごいねェ、とても初めてとは思えないなあ、あなたならできる。などと、極く自然に、さり気なくほめること。
②くどくど理屈をこねると失敗する
つまり、ほめているのか、おだてているのかわからなくなるからです。叱るよりおだてる方がやさしいけれど本音で聞いてくれなくなります。中には「ウットーシイな」と思う人も多いと知るべしです。
③他人のことばとしてほめる
「君の同僚がこんな風にほめてたよ」の型。誰しも多くの人に認められたいという心があります。そこを突いてみるのです。
④メモにして文としてほめる
一行か二行でよろしい。ポイントを絞って書くのです。意外にそのメモを捨てないのには驚きますよ。この方が口頭表現より有効な時もあります。メールなどぴったり。
⑤電話または録音テープでほめる
単的で気持ちがストレートに伝わるのです。携帯電話はそのための有効な道具です。
それではやってみてください。次号もこのつづきです。
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