心をつかむ2

歯科医院内のコミュニケーション

心をつかむ2

コミュニケーションの方法論

コミュニケーションの方法論は多種あります。大別して2通りです。

A:バーバル・コミュニケーション
B:ノン・バーバル・コミュニケーション

verbal バーバル:形容詞 言葉の[に関する]・言葉から成る
バーバル・コミュニケーション(会話や文字、印刷物など言語的なコミュニケーション)
ノン・バーバル・コミュニケーション(顔の表情や声の大きさ、視線、身振り手振り、ジェスチャーなどによるコミュニケーション)

人間のコミュニケーションは、主にAの方法でありますが、ことばだけでは的確に伝わりにくいものです。外国人となれば当然、ことばが通じないことが多いのですから、伝わりにくいはずです。同国人であっても、年代差、男女差、経験や学識の差で思うように通じにくいものです。そこで、Bの方法は、行動、態度、視線など、日本では物言いより大切にされてきた節があります。特に対面している時の視線(眼線)のやりとりは、コミュニケーションの補助的な意味で、心を通じ合い、意思の伝達に重要な手段であります。最近では、介護関係の看護にも、積極的に取り入れられている技法です。

1960年代からアメリカでは、諸々の社会状況の変化が急速に現れ、異文化の人々とのコミュニケーションを的確に図らなくてはならなくなり、ことばでは通じない部分の人心のつかみ方を研究する専門家が増えました。それらを総括しますと、人と人は自分を保護するための人的な空間をそれぞれに保持していて、対話中に敏感にそれらを感得し、相手との親和を図っているというのです。その中の大切なことのひとつとして、視線の着脱とその角度による影響を知るべきであるとしています。
私も現役のアナウンサー時代に、この視角についての指導を受けたことがあります。インタビュー中に、不自然に視角をはずしたり、自然な角度の無視しますと、受け手の心が動揺し、こちらの意に反した情動反応が現れ、うまく話が噛み合わなくなることがしばしば起こりました。医療の場面でも、ポイントになるのではないでしょうか。

視角の示す基本的イメージ

1.対面的:机の両サイドに正面向きに座る。

視線は直視状態。目と目を合わすのはちょっと気まずいイメージ。従って、上目づかいになったり。下目づかいになったり。かと言って、ジッと目を合わそうとすると、にらめっこの心になってしまう。意見交換はしにくい。事務的であり、本音を出しにくい。

  • 上位から下位への申し渡し、命令型
  • 厳しい事情聴取や尋問のスタイル
  • ここで相手だけに光線を向けると、より強い情動反応を起こす

2.対角線型:机の両サイドで最も遠い、斜めの位置に座る。

視線は極端に合わせにくい。ほとんど斜目ににらむ型になる。すいた電車の席の取り方はこうなる。そして徐々に中央の席へ埋まっていく。相手との安全距離は保たれるが疎外感が強く、時間の経過と共に両者にお互いを批判する気持ちが生まれてくる。

  • 重要な込み入った話には不向き
  • 会議でもこの位置に座る人は情報係か書記といった静観し、冷淡なまでの批判をし分析をする役目になる

3.平行型:机の同じ側に平行に座る。隣り合わせになる型。

自他共に一体感がある。視線はほとんど交わせない。心は親和、意思も内容も融和している間柄。

  • バーや居酒屋のカウンター、公園のベンチに利用されている。場合によっては内緒話ができる。ただし、見知らぬ人同士ではその場から離れたくなる。視線を用いて相手の心を計れないため

4.角利用型:机の角を利用して、90度の位置に座る。

  • 視線は心の動きにつれて着脱しやすい
  • 距離は1メートル位。不思議に息づかいが落ち着いてくる。理解度が高くなる。適当な親和感があり、本音が出やすい
  • 大学でも個人的な話をする時はこの型を利用しています。医療でも対話に用いる工夫が必要でしょう
  • 視線と視角はノン・バーバル・コミュニケーションの方法論としてそれぞれの場で研究の余地がありますね