新年あけましておめでとうございます

インフォメーション | 2024年1月9日

長かったコロナ禍を経て、皆様におかれましては、文字通り通り晴れ晴れとした気持ちで新年をお迎えのことと存じます。
私は旧年中の煩さな事でヒートアップした頭を連日の寄席通いで冷やし、心機一転、社会に予防歯科を繋げていく所存です。

寄席の空間は頭をクールダウンさせるメリットだけではなく、私たちが未来社会像の中で見落としていることに気づかせてくれます。
というのは、作年、話題作となった、多和田葉子さんの献灯使の中で描かれている高齢者が脆弱な心身の若者をケアする未来社会像が、現実のものとしてそこには存在しているからです。
内閣府が示すところの1.3人の現役世代が高齢者1人を支える未来社会とは違い、多くの高齢な落語家たちがエンタメを通じて日常生活に彩りを添える役割を果たし、現役世代の人々のメンタリティーを支えているドキュメンタリーが展開されています。
Socity5.0のフィジカル空間では年齢による従来の区分は意味をなさず、ケアできる人がケアを必要とする人にケアを届け、それを支える基盤がAIを主体とするサイバー空間である社会像がSocity5.0ではないかと、寄席の空間から想像が膨らみます。

日本ではSocity5.0をはじめとして、社会や経済の停滞を科学技術の振興によって突破しようとする考えが根強く、歯科業界もその例外ではありません。
現代史を振り返ってみると、人材育成及び活用を含めて人文・社会科学をどう扱うかという点で考えるべきことが多々残されていることが理解できます。
歯科業界でも馴染みが深いスウェーデンの予防歯科などは、その最たるもので、むし歯や歯周病の病因論や予防歯科学の研鑽と並行して人文・社会科学を基盤とした社会システム改革がスウェーデンの歯科医療の品質向上に影響を与えています。
歯科医療・処置はAIの介入を受けにくい労働集約的分野ですから、変革の基礎となるのは人文・社会科学的知識であり、そのための教育・振興にもっと力を注ぐべきではと思います。

それでは本年もどうぞよろしくお願いいたします。

クレセル株式会社 伊藤日出男