そういえば、一昨日開院した練馬区の医院も新患予約が約30人と好スタートを切った。この医院の院長も長身の好男子だが、目標設定が明確で、即決即断のリーダータイプ。この二人のルーキー院長に共通していることは、40代になった時の歯科医としての自分の在り方が明確なことだ。だからこそ、情熱を胸に厳しい今を戦える。このところ開業支援をしている若手歯科医は、見かけは草食系だが実は肉食系の好漢が多い。逆風が吹く歯科界にあって、成功するには肉食系の情熱が何より重要だ。
「情熱」という言葉は今日的でなく、「情報」という言葉に取って代わられた。巷にあふれる経営書にもリーダーの条件として、「情報力」「先見性」「決断力」「行動力」「コミュニケーション力」などが挙げられ、「情熱」は後じんを拝している。しかし、院長に求められる最も重要な資質は、なんといっても「情熱」だと思う。企業再生のプロ、日本電産の永守重信氏に「能力5倍、情熱100倍」という肚に落ちる言葉がある。人間の能力は上と下では5倍の違いしかないが、情熱の違いは100倍あると解釈している。零細な歯科医院経営には、ことのほか響く言葉だ。
「情熱」に火をつけることは、開業すれば火炎の勢いは違っても誰しもがすることだ。しかし、「情熱」の火を燃やし続けることは難しい。そのために時限的目標を何段階かに持つことは必要条件だが、それより大切なことは、「情熱の火を焚きつけてくれる人」の存在だ。こういった存在の人を求め出会うことが、厳しい経営環境の中で、歯科医師をライフワークとするには絶対条件だ。歯科界にいなければ、他流試合をしてでも見つけ出して欲しい。
院長には技術や知識が必要なことはいうまでもないが、それより重要なのが「情熱の火を焚きつけてくれる人」の存在だ。その存在が、歯科医院経営の正否を決するのだから。