東北地方のクライアントの訪問が延期され、少し時間にゆとりができたので、歯科雑誌をパラパラと流し読みをしてみる。不勉強な習いの私は、滅多に歯科雑誌を読まない。歯科業界に入った当時、総山孝雄先生の「歯学概論」と飯塚哲夫先生の「歯科医療とはなにか」を繰り返し読んだ。しかし、月刊の歯科雑誌は各論で構成されているため仕方がないが、編集コンセプトが希薄なため、退屈だ。雑誌巻末のセミナー広告を見ていた方が、歯科界のトレンドがわかって、まだましだ。
セミナー広告は、矯正とインプラント、そして世相を反映して経営セミナーが目につく。クライアントからも、スタッフ教育について「どのセミナーを受講すればいい」という質問を良くいただく。不勉強なため返事に窮すること度々。ひんしゅくを買うが、内心は「なんでもいい」と思っている。セミナーが実際に役にたつことなど、ごく稀なこと。セミナーは受講者のレベルや心構えで、その効果は大きく変わってしまうからだ。さらにセミナーによるインプット型のレベルアップは、受講者のモチベーションアップ以上にも以下にもならないと思ってさえいる。
以前、訪問先の医院で、モノになるのは厳しいな、と思っていたDHがいた。当時の彼女は、渋谷のセンター街で彷徨う女の子たちと外見は違わず、会話も幼稚で患者に信頼を得るような期待はできそうもなかった。しかし、度胸と積極性だけは、並々ならないモノがあり、私の関連するセミナーにも良く顔を出していた。そのうちセミナーの手伝いをしてもらい、多少の発言をしてもらうと、そのコメントがタイムリーなのだ。そんなことを繰り返しているうちに、彼女はDH対象のセミナーを主催するまでに成長した。彼女を成長させた原動力はセミナーでのインプットではなく、セミナーでのアウトプットだったのだと思う。
セミナーでインプット過剰になり消化不良を起させるよりも、アウトプットさせる場や媒体を与えることでスタッフは成長する。