ランキング情報の信頼性

「調査方法・集計処理でも、客観性を徹底的に追求。学術的にも公平性が高く信頼できるランキングです」。オリコンCSランキングに対する、慶応義塾大学で応用統計学を専門とする鈴木秀男准教授のコメントである。歯科にランクインしている医院を見ると、鈴木氏の見識を疑う。口コミサイトやランキングサイトの内実は、PRサイトである。一端の人であれば周知のことなので、批判するのは大人げないと、承知している。

しかし、この慶応義塾大学鈴木先生の論、統計学をもって医療を評価するときの、評価者と評価基準の選定の失敗例である。『ミシュラン東京版』以上のでたらめぶりだ。『ミシュラン東京版』のでたらめは、食の評論家(?)山本益博氏の暗躍によるものともっぱらだが、オリコンランキングのでたらめは鈴木准教授の後押しによるものとなりかねない。

そのでたらめぶりの一端。例えば審美歯科ランキングは、11の評価項目からなる。『治療結果』の項目を見ると「駅前で便利でした。先生もやさしく、スタッフの対応も親切。治療も早く終わりました」と体験者のコメントがある。恣意的にこのコメントを選んだわけではない、どのコメントもこの程度の散漫な感じだ。このコメントの何をもって『治療結果』10段階評価で9の医院なのか不思議である。また他の評価項目『利便性』や『スタッフ対応』とどうやって評価の選別をしているのだろうか。全く理解できない。

まあ、オリコンランキングの影響力やブランド力は、ミシュランの足下にも及ばないので、目くじらたてることはない。それにしても情けないのは、このランキングに載るために、アルバイトや業者を使って口コミを書かせる自作自演する歯科医院が少なからず存在すること。こんなランキングサイトに汲々とする歯科医院が増えるに従い、歯科大学の入学難易度ランキングは急下降している現実。某大学相撲部と変わらない偏差値の歯科大が増えて、歯科界の『玉石石石混合』状態は確実。儲かるのは広告代理店ばかりで、ますます真っ当な歯科医院の経営は難しくなってきた。