まずはスピードありき

新潟のある市での開業プロジェクトに携わって1年近くになる。開業は数ヶ月先だが、この医院は必ず成功すると確信が持てる。その理由は一点のみ、開業歯科医が機会損失をしないスピード感を持っているからだ。これは歯科以外でも、経営者ならば誰しもが感じることだが、ビジネスをしていて何がストレスになるかといって、機会損失以外にない。失敗でも構わない。スピード感がない人は、失敗することにも時間がかかる。

停滞気味の歯科医院を見ていると、じわじわと成功のステップを踏んでいるつもりで、じわじわと失敗していくことに安心しているだけの医院もある。経営に延命処置を持ち込まないのが、私の主義だ。早く失敗して、失敗を繰り返す機会が多いことが、経営はもとより人生設計において大切と思うからだ。

私は、教員、サラリーマンを経験して、現在は零細な会社を経営している。これまであらゆる「できない人」を見てきた。「できない人」の共通項は機会損失を繰り返すことだ。では、機会損失をしないためにはどうすれば良いのか?当たり前のことだが、スピードをあげることだ。スピードアップは、仕事時間×集中力の結果だ。人の能力には大きな違いはないと思っている。私の知る「できない人」は、単にスピード感を持って働いていないだけの場合がほとんどだった。「できない人」の時間消費方法は、仕事もどきに使う時間が長いことだ。つまりは仕事をしていないのだ。

停滞気味の医院の院長は、自己啓発セミナーや訳の分からない経営セミナーに参加して、仕事をした気になって、肝心な診療に携わる時間が少なくなっている。やはり「できない院長」も単に仕事をしていないだけである。「できないスタッフ」の特徴は、歯科医ならばやり直し治療に時間を使い、DHならば取り残しの歯石のためのメンテナンスに追われる。つまり「やり直し」をすることが仕事になって、機会損失をしているのだ。

経営とは、機会損失を無くすスピードを手に入れることだ。