コロナ禍を乗り切る3つのフェーズ
新型コロナ禍を生き抜く歯科医院の対策(1)

新型コロナウイルス感染拡大で世情が不穏となり、生活者の笑顔が消え感情は尖る社会になりつつあります。ドラッグストアの店員に「マスク云々」と毒づく中年男性を横目に歯科医院へ向かい、「ウチは今のところ、影響はほとんどありません」と話していた歯科医師から、その夜に連絡が入り、「午後からキャンセル電話が殺到しました」とのこと。こんな歯科医師からの声が4月11日の夜にはいくつか届きました。

4月11日の昼のワイドショーでの「歯科受診リスクレポート」の放映後から首都圏の歯科医院への風向きが一転した感じです。ヨミドクター記事(1)で気づき→Yahooニュースで拡散→ワイドショーで逆風→ヨミドクター記事(2)で窮地となりつつあり、来院予定者のおよそ40%がキャンセルになっているのが、4月11日以降の歯科医院の現状です

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感染拡大が先行している欧米で、感染拡大の原因となる業種を行政が特定して、世論の槍玉に上がる状況に陥れることなど聞いたことはありません。業種によるリスクを示しても、行政の首長の器量の広さが国民感情をコントロールしているのです。ドイツのメルケル首相のコロナ対策の演説を聞いた方も多いでしょう。その中でメルケル首相は、感染拡大の中でも働き続ける医師や介護従事者、普段あまり感謝されることのないスーパーのレジ打ちの労働者への感謝と、そういう人たちがいてこそ市民生活が成り立っていると述べ、国民に感染防止へ団結を呼びかけていました。

日本はどうでしょうか。行政の首長の発言は場当たり的にヒステリックな発言をするために、世情の不安を煽り、夜の商売に続き歯科医院が感染拡大の犯人のようになる様は、国民の一致団結には程遠い感があります。こんな世情の中、歯科医院は自院のコロナ感染対策を明らかにすることを何よりも優先するべきです。人は知らないから不安になるわけで、歯科医院に対しても不信感を抱くのです。こんな時に一時的な損失を恐れて、歯科医院の内実を明かさないのが一番の愚策です。まず、医院の体制を社会に明らかにすることです。

続いて歯科医院は各種の支援制度(下記参照)を利用して自院の財務基盤の安定を図ることです。コロナ感染の動向を見ながら9月頃を目処に、来院を中断している患者のリカバリー対策をしていきます。そして12月頃までにポストコロナ時代の歯科医院経営を見据え医院体制を刷新していくステップを踏む必要があるでしょう。この感染拡大はいつかは終息します。しかし、歯科医院の収益は、コロナ以前に戻ることはないと思います。一度小さくなったパイはコロナ以前と同じ体制・方針・方策では回復しないのが市場経済というものです。現在の歯科医院経営の足元を固めて、ポストコロナ時代の歯科医院を考える必要があるでしょう。(続く)

P.S.メルケル首相の演説を読み気持ちを奮い立たせましょう!

コロナ感染拡大を機に3つのフェーズで医院体制を整える

4~5月
院内感染防止対策・従業員の雇用調整・財務基盤の安定化

9月頃
患者リカバリー対策・従業員の雇用再調整

12月頃
医院体制・方針・方策の刷新

新型コロナに関する支援制度

困りごと 制度 内容 相談先
中小企業向け貸付 雇用調整助成金 従業員の休業等雇用対策。 政策金融公庫
感染拡大防止協力金 休業に協力した企業・店舗へ助成金。 東京都のみ(4月13日現在)
事業継続緊急対策助成金 人材確保・職場整備。 各自治体雇用環境整備課
生活費 緊急小口資金 休業者向け。無利子で最大20万円借りられる。 各市町村社会福祉協議会
総合支援資金 失業者。単身は45万円、2人は60万円。無利子。
仕事 傷病手当金 けがや病気。報酬の3分の2を受け取れる。 健康保険者
休業手当 勤め先の指示で休業。賃金の6割以上を受け取れる。 勤め先
小学校休業等
対応助成金・支援金
勤め先に日額上限8330円。フリーランスには日額4100円。 厚労省コールセンター
住まい 住居確保給付金 住まいを失った、失いそうな人向け。3ヶ月分の家賃を受け取れる。 各市町村生活福祉課
税、公共料金
社会保険料
支払い猶予 税、社会保険料、電気、ガス、水道料猶予あり。 各請求先に要相談
全般 生活保護 基準以下の収入しかない場合。 各市町村生活福祉課