一昨日「縮小均衡市場を生きる歯科医院の原理原則」という長ったらしい演題で、東京歯科大同窓会市川浦安支部の先生方に歯科医師会館でお話しをさせていただいた。学術講演を銘打っている場で、私の街場の経営論を展開して良いものか否かいささかためらいがあった。しかし依頼主は、私が歯科界に頭を突っ込んだ頃、歯科臨床には基礎系・歯科理工学の素養の大切さを教えてくださった中村光夫先生、お断りできるはずもない。
当時中村先生は順天堂系列の病院で歯科部長を務めていた。その頃接着歯学の祖、医科歯科大材研の中林教授の片腕として、臨床研究に明け暮れ、数々の論文を発表なさっていた。診療後の医局には、常にサンメディカル・GC・トクヤマ・クラレなどのメーカーが列をなして、中村先生に自社の歯科材評価依頼に来ていたことが思い出される。そんな中、門外漢の私にも発表前の論文を説明してくださり、その上柳橋・日本橋・銀座などの美味しい処で度々ご馳走してくださった。
当時の中村先生から教えを頂いた接着歯学によって、歯科臨床評価の標準値が私の中ででき、中村先生にはとても足を向けては寝られない。予防歯科が常識になっている現在、8020の目標を大きく上回る数字は、1次予防の効果とともに、接着歯科がもたらした2次予防への貢献が大きいことはもはや常識である。予防歯科の影の功労者、中林教授、アポロニアで文筆をふるっている安田登先生、日本接着歯学会副会長 高橋英登先生、そして中村先生の論文に触れてみることが、予防を標榜する医院の良識ではないだろうか。
話を講演会に戻すと、①少子高齢化による生産者人口の減少が問題 ②設備投資と収益バランスの悪い歯科 ③拡大成長を前提とした歯科経営は破たんする ④来院5回の壁を乗り切る仕組み作り ⑤治療終了後2年以内に患者を顧客化する 以上5ポイントについてお話しさせていただいた。
診療終了後のお疲れの中、受講者の先生方には、私の雑駁な話を最後まで熱心に聞いていただき、ありがとうございました。懇親会でも、歯科の黄金期を知る中高年の先生方から若手の先生まで、とても熱心に経営談義に花を咲かせ、明日への活力になっていたようです。それでは、来年はリクエストにお答えして市川・浦安地区での実践的経営スキームをお話しさせていただきます。
2012年9月19日 東京歯科大同窓会市川浦安支部講演会
歯科 開業のコンサルブログ | 2012年9月21日